![]() |
![]() |
(arr-Hector Berlioz)
PREISER/MONO 90260(Austria)
TAHRA/TAH 311/312(France)2CDs
![]() |
![]() |
(arr-Felix Weingartner)
KING SEVEN SEAS/KICC-2024(Japna)
MELODRAM/MEL18033(Italy)
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
|
ウェーバーの「舞踏への勧誘」は最初ピアノ曲として作曲され、後にベルリオーズによってオーケストレーションが施され、一気にポピュラー名曲の仲間入りをした。優れて標題的で情景描写に優れた音楽は、ロマン派の作品に受け継がれてゆく。 「舞踏への勧誘」は、小生最近でこそあまり聞かなくなってしまったが、子供の頃はそれこそ耳にたこができるほど聞いた。無論、その頃はクナの演奏ではなく、別の指揮者のものだったと思うが、チェロのゆったりとして落ち着いたプロローグから、明るく華やかなワルツに場面が変わるところでは、目の前がぱっと明るくなるようで、繰り返し楽しんだ記憶がある。 クナのDECCA盤も、LP時代のかなり以前から聞いてきている。これは昔からLPでよく再発されていたし、同じLPに収録されている他の楽曲同様、ポピュラー名曲の1枚として持っていた。自分が今ほどクナの創り出す音楽にはまりこんでいない時期だ。そのノスタルジックに古風な音楽は、どこかホットできる音楽づくりで、現代音楽やテクノ=オルタネイティヴ系のロックばっかりを聴いていた時期の、解毒剤のような作用を持っていたのではなかったかと思う。ただし、その頃はクナにはそれほど興味はなく、音楽そのものを聞いていたような気がする。クナの凄さを認識できたのは、ずっと年を取ってからだ。 実は今回、「舞踏への勧誘」を久しぶりに聞き直した。クナでは、ベートーヴェンやブルックナーの交響曲、ワーグナーの楽劇はそれこそ、いやと言うほど聞いているが、オーケストラ小品を繰り返し聞く機会はそんなに多くは作れないでいる。 久しぶりに聞いて、クナの演奏に酔うと同時に、子供時代にタイムスリップした感覚に襲われる。冒頭チェロの幾分哀愁を含んだ落ち着いた響きは、舞踏会にデビューした少女にダンスの相手を申し込む初老の紳士の表現だと、どこかで読んだ記憶があるが、その初老の紳士に自分が今なりつつあり(紳士かどうかは、横に置いておいて^^)、「舞踏への勧誘」の情景がその登場人物の中で、自分の実時間と逆転していることに感慨を持たざるを得ない(^^;。 なお「舞踏への勧誘」はスコアを持ち合わせていないため、小節表示はできなかった。
クナの「舞踏への勧誘」の録音は3種類、手元に9枚のCDがあった。内5枚はDECCA盤だ(^^;。
1955年盤
1960年盤 1942年盤、1960年盤 同じベルリオーズ編曲を演奏していると言うことで、1942年盤と1960年盤を聞いてみた。 クナは、若いときからこのポピュラーな楽曲が好きだったのだろう。1942年盤はそのチェロの最初からゆったりと音楽が息づいており、ワルツへの経過句もしっとりとしている。ただ、「舞踏への勧誘」の中心となるワルツでは、1942年盤では少し表情がスポイルされているようで、1960年盤のような人なつっこさはない。ただ、当時としては、このクナの1942年盤は相当な名演であったはずで、この通俗的な名曲から、しっかりとした構成感や精度を引き出している。遊びがそれほどあるとは言えない演奏だが、クナの当時の苦しかった時代を考えると、このがっしりとした演奏に、当時のベルリンでのクナの微妙な位置に思いが行ってしまって、多少息苦しささえ感じる。 1960年盤は、これは文句なく楽しめる。冒頭、チェロの響きから既に美しく、ひなびていて素敵だ。ワルツでは、クナはいきなり強奏で、目の前がパーっと明るくなるような場面転換が行われるように演奏したかったに違いない。すこし、編集がミスったのかその唐突具合がもう一つながら、ワルツ全体はものすごく微に入り細に入り、よくこれだけ細かなフレーズを大切にして演奏しているものだと感心する。そのため、楽曲の姿が本質以上に立派に、スケールが豊かに再現されてゆく。各楽器のバランスも絶妙で、下味は下味として、目立たなくてはならない部分はしっかりと目立つように演奏されてゆく。幾分、金管楽器がもの凄い響きを出すのだが、クナの演奏ではお馴染みで、納得してしまう。カラヤンの美演ではないのだ(^^)。これは、木を丹念に描きながら大きな森に発展させてゆく、クナの芸風が典型的に現れた名演だと思える。幾分、おっとり気味のテンポながら、そのゆったりとたゆたうような呼吸感は何ものにも代え難い。時折、哀愁を含んだメロディが顔を覗かせるが、恐らく、他の指揮者では感じ取れない切ない優しさを含んでいる。恐らく、クナと全く逆の演奏をして成功しているのはトスカニーニだけだろう(トスカニーニの同曲を収録したCDを探しているんだが、見つからないんだ、これが(-_-;))。オーケストラも、このゆったりとした音響絵巻を楽しんでいるかのように、クナの棒によって演奏しているかのようだ。これは、ひさしぶりに聞き直して、余人には代え難い名演だと感じた。
1955年盤 クナと「舞踏への勧誘」が似合わないと考えられる方がおられれば、それは大きな間違いだ。1942年のクナにしては緊密な演奏から、クナは同曲を十八番にしていたことが想像できる。そして、1960年盤は、少しおっとりした感触のため、現代で言われるスペクタクルな演奏ではないのかも知れないが、その情感やスコアの襞の襞まで再現している、非常に優れた演奏だと言えると思う。また、その深い呼吸感は、他の誰にもなしえないような豊かなスケールを獲得している。 1955年盤は、現在入手しにくいのが難点だ。ベルリオーズ版と異なる、このケレンに富んだ編曲はクナの遊び心と一体化したときに、その威力を発揮しているとも考えられるので、是非ともどのレーベルかで、復刻されることを願ってやまない。多分、ORFEO D'ORにはちゃんとしたテープがあるはずなのだ。同日の録音の前後の曲目をCD化しているんだし・・・。ワインガルトナーの著作隣接権がクリアできていないのかも知れないが。ORFEOさん、何かのおまけでもいいから、このとてつもなく面白い演奏を是非、復活させてくださいm(_ _)m。 |