
Zürich Tonhalle Orchestra
(rec.1947/6/5 L)
SIMAX/1822(Austria)2CDs
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クナの「トリスタンとイゾルデ」の抜粋は、音の悪いウィーン国立歌劇場でのライヴシリーズの中にもないし、やれやれと思っていた。 ところが、狂友吉岡伊豫守殿の家に行くと、あるではないか!「ミンちゃんのディスコグラフィにも載ってんでぇ(注:「Hans Knappertsbusch Dhiscography」(キング・インターナショナル刊)」と言われ、ついでにSIMAXのCDよりも、もう少し長めにその録音が入っているLPも貸してもらった。完全な、見落としだった。 クナは、1947年にスイスでDECCAの録音セッションを何回か持った。PREISER/90189に収録されているトーンハレ管弦楽団との「ローエングリン」第1幕前奏曲、スイス・ロマンド管弦楽団との「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕前奏曲、ブラームス:交響曲第2番、PREISER/90083に収録されているトーンハレ管弦楽団とのマリア・レイニングの歌で「タンホイザー」「ニュルンベルクのマイスタージンガー」、R・シュトラウス「ばらの騎士」からの数曲の伴奏録音だ。 録音データではどれも6月から7月になっているので、クナは1947年に非ナチ化裁判で解禁された後、バンベルクでまず復活、ベルリン、ウィーン、ミュンヘンで次々と復活した後、スイスのチューリッヒで6月5日に「トリスタンとイゾルデ」を全体か部分的か分からないが、公演している(聞いている限りではコンサート形式のようだが、コーラスもちゃんと入っているし、オペラ公演だろうか?)。今回のフラグスタートのアルバムに入っている録音は、そのライヴの模様のようだが、クナはチューリッヒで約2ヶ月間、録音などの仕事をし、8月にはザルツブルク音楽祭に出演したわけだ。 LPには、第1幕から「Entartet Geschlect」から「Todgeweihtes Haupt!」、「Wie Sorgt'ich Schlecht」から終幕までが収録されているが、CDではどういうわけか「Wie Sorgt'ich Schlecht」から「Verräter!Ich trink'sie dir」までしか収録されていない。 LP、CDとも古くさい貧弱な音で(仕方ないね^^;)、ここからクナの管弦楽の全体像をを聞き出すことには無理があるが、フラグスタートの歌唱は落ち着いていて立派だし、管弦楽もしっとりと落ち着いている。ロレンツの生臭さいトリスタンとフラグスタートの気の強そうなイゾルデはなかなかの聞き物だ。この組み合わせでは、第2幕を聞きたいが、ないものは仕様がない(^^;;;;。 LPに収録されている長い方のバージョンは第1幕の終幕ではトリスタンが中心となるため、フラグスタートのファンのために製作されたCDではカットされたのだろうが(あるいは録音状態が良くなかったか−LPでは明らかに別音源が微少被っている)、二人が惚れ薬を飲んでから終幕までが聞き物なのに残念だと思う。LPにのみ収録された録音箇所で恐縮だが、惚れ薬を飲んで愛に目覚め、お互いの名前を呼び合う様の短いがなんと感動的なことか。ただ、音はぶつ切れで、音そのものがなくなってしまったり、低レベルに落ちてしまったりして、かなり聞き難い。素直に盛り上がってゆく箇所が聞き取りにくい。クナは最後かなりアッチェランドをかけ、華々しく第1幕を終了する。最後までロレンツが生臭いのが面白い。 この録音は、ロレンツやフラグスタートのフリークにはうれしい録音かもしれないが、クナファンはその録音状態が元で欲求不満に陥ってしまうだろう。クナの「トリスタンとイゾルデ」抜粋ではきわめて貴重だが、それ以上の価値は残念ながら見いだしにくかった。特に、CDの録音箇所は短かすぎ、LPをそのまま収録してくれたら良かったのにと思える。 |