クナを聞く 第102回
ブルックナー編その1−1 交響曲第3番


 クナによる、ブルックナー:交響曲第3番の録音は、今のところ以下のものが確認できた。

 各録音のCDはイヤと言うほどリリースされている。見ていたらうんざりしてしまった(^^;。数えてみたら、全部で19枚あった。
 「クナを聞く ブルックナー編 ブルックナー:交響曲第3番」の第1回は、まずどれだけのCDがあるのか見て行きたいと思う。でないと、自分でも整理がつかない(^^;;;;。なお、一部わざと購入ししていないCDや購入し損なったCDもある。それは、文中で述べて行こうと思う。
 小生、なぜブルックナー:交響曲第3番があまり好きではなかったのか、なぜLPでそれほど聞かなかったのかを最近思い出した。
 第1楽章が子供時代に好きではなかったということにもよるが、一番大きな原因は第2楽章に原因があった。第2楽章57小節から、第1ヴァイオリンが不可解な動きで、まるでメロディがシンコペーションする箇所があるのだが、LP当時、なんだか音飛びを起こしているようで、この交響曲のLPを聞くのが恐かったのだ。高校生時代、あまりいいプレーヤーで聞いていたわけではなかったので、LPの針飛びにはもの凄く神経質になっていた。そこへ、この不可解なメロディ進行である。現代音楽なら、「こんなものか」で済ませてしまうところだが、ブルックナーの交響曲ではなかなかそうはいかなかった。ベームのDECCA盤LPだったが、その変な進行に「あ、このLPだめだ」という気持ちになったことを、最近ようやく思い出した。
 むろん、今ではそう言うことはなく、ブルックナーがどこからそのメロディの動きの着想を得たのか分からないが、河の中を泳ぐ魚の急激な方向転換、あるいは花畑の上を飛び交う昆虫の動きのようで、逆に微笑ましく思えてしまう。


SBT 1339
KICC-2100
K35Y 1013
PD 4111
Wiener Philharmoniker
(rec.1954/04/01-03 S)

Testament/SBT 1339(England)
King Record/KICC-2100(Japan)
King Record/K35Y 1013(Japan)
Palladio/PD 4111(Italy)
 DECCAによるスタジオ録音。他にも、Andoromedaでなイタリアのレーベルからリリースされている。実は、ここで写真を掲載したPalladio盤とAndromeda盤はもの凄く劣悪な音なのだ。恐らく、ヨーロッパではクナのDECCA録音のブルックナー:交響曲第3番と第4番はリリースされていない頃で、好事家のためだろうかイタリアで復刻された。一体、源音源は何だ?というくらいにひどい音で、Andromeda盤は頭に来てどこかに棄ててしまった。確か、かなり廉価で出回っていたと思う。
 音としては、最も新しくリリースされたTestament盤が安定したバランスで、小生手持ちのCDの中では最も聞きやすい。Testament盤をリファレンスにすることにした。

C 576 021 B
CD 257
GH-0019
KICC-2153
Bayerisches Staatsorchester
(rec.1954/10/11 L)

Orfeo D'or/C 576 021 B(Germany)
Music & Arts/CD 257(U.S.A)
Green Hill/GH-0019(Japan)
King Seven Seas/KICC-2153
 Orfeo D'or盤が出るまで、プライベートレーベルとか海賊盤でリリースされていた。普通なら、このOrfeo D'or盤がリファレンスになってしかるべきだし、音も大変優れている。
 ところが、あまりにきれいに音をCDに収めようとしたのか、迫力不足は否めない。ノイズはきれいに除去されてはいるものの、イマイチ臨場感に乏しい。
 Music & Arts盤はノイズはあるが、臨場感という点ではなかなかだ。
 しかし、このCDも部分的に帯域が寸詰まりで、ひじょうに長いインターバルでのフェイズがかかっており、「おお!」という部分と「あれ?」という部分が交互にやってくる。
 次に、Green Hill盤。ノイズはそこそこあるし、帯域でもかなり自然だ。Green Hillというレーベル自体、謎の海賊盤だが、どこからこの音源を引っ張ってきたのだろう?整音される前のOrfeo D'or盤といういう雰囲気で同曲の同録音を聞く上で、小生としては一番好ましい。
 King Sven Seas盤はMusic & Arts盤とほぼ同じである。
 この録音に関しては、Green Hill盤をリファレンスにして聞くことにした。

ALT071
Wiener Philharmoniker
(rec.1960/2/14 L)

Altus/ALT071(Japan)
 2003年に、いきなりリリースされ、ファンをうれしがらせた。連合軍の占領政策によるオーストリアの放送局「ロースヴァイスロート」の音源からの復刻。これが初リリースだった。
 音は、きれいに整音されすぎた音で、あまり好みではないが、1種類しかないものは仕方がない。なにより、初めて聞ける「ロースヴァイスロート」でのクナの録音なのだ。一所懸命聞こう(^^;。

LS 1019
CD-1028
TAH 132-135
KICC-2410
K30Y 263
ELM 01-99
Das NDR Sinfonieorchester
(rec.1962/3/24 L)

Living Stage/LS 1019(Slovenia)
Music & Arts/CD-1028(U.S.A)6CDs
Tahra/TAH 132-135(France)4CDs
King Seven Seas/KICC-2410(Japan)
King Seven Seas/K30Y 263(Japan)
En Larmes/ELM 01-99(Pirate)
 ハンブルクのNDRとの共演盤。6種類ものCDが出ているのか(^^;。
 まず、最も最近リリースされたLiving Stage盤。Living Stage盤は「なんじゃこれ」というクナのCDも数多くリリースしているが、このブルックナー:交響曲第3番はけっこうまともである。ステレオプレゼンスを加えたりはしていないが、多少ドンシャリ傾向でマスタリングがしてある。その分、メリハリとエッジがしっかりしており、オーケストラの細かな音までよく聞き取れる。かなり押し出しのいい音で、NDRとの共演を聞かせてくれ、大満足できる。
 Music &Arts盤。最初安物のラジオから聞こえてくるような音で、Living Stage盤に紗でもかけたような音。それでも、曲が進んでゆくとかなり聞きやすい音になる。少し、人工臭さが残るが悪い復刻ではない。
 Tahra盤。一番これが迫力はあるが、コンプレッサーでもかけたような音。フォルテシモの迫力は相当なものだが、逆に静かな部分での音の粒立ちは今ひとつだ。どちらかというと悪い。音がとぎれとぎれに聞こえてしまう。ノイズを消すため、かなり帯域を狭めているような印象。それに、短めのリヴァーヴが加えられ、ステレオプレゼンスがほんの少し加えられている。悪いCD化ではむろんないし聞きやすいが、他のCDと聞き比べると、「ちょっと・・・」という気になってしまう。
 King Seven Seas盤のKICC-2410。雰囲気としてはMusic & Arts盤に似ているが、この日本盤はかなり健闘している。低域は少し不足しているものの、見事な音でクナ1962年のNDRとの共演を聞かせてくれる。「Licensed from Affeto,Italy」とある。なお、このKICC-2400番台のジャケットは、Knappertsbushになっていて、cが抜けている。
 同じ、King Seven Seas盤でも、原盤が違うらしいK30Y 263。「Produced by Caviar Record」とある。これは帯域も狭く、あまりいいCDの音ではなかった。最初のフォルテシモで、疑似ステレオのような音になってしまう。もの凄く大時代的な音。
 海賊CDR、En Larmes盤。こいつはいったい何なんだ!指揮者の出の拍手からもの凄い臨場感がある。楽曲が始まって、しばらくはそれなりの音に感じてしまうし、スイッチングによる音の不意な強さの変化が感じられてしまうが(これは、他のCDでも多少感じられる。元は一緒か)、King Seven Seas/KICC-2410と同じような優れた音を聞かせてくれる。
 困った。Living Stage盤、King Seven Seas/KICC-2410、En Laemes盤のどれをリファレンスにしようかと迷う。へそ曲がりな小生は、最初の拍手がしっかりと聞け、その雰囲気が良いということで、En Larmes盤をリファレンスにしようか?(^^;。時々、Living Stage盤やKICC-2410も聞きながらログを進めることにしよう。
 残念ながら、リリースされたときは大歓迎され、小生も有り難がって聞いていたTahra盤はリファレンスにしにくい音だった。

LS 1003
GM4.0008
CHCD-1002
KICC-2359
Münchener Philharmoniker
(rec.1964/01/16 L)

Living Stage/LS 1003(Slovenia)
Golden Melodram/GM4.0008(Croatia)7CDs
Chaconne/CHCD-1002(Japan)
King Seven Seas/KICC-2359(Japan)
 クナ、最後のブルックナー:交響曲第3番の録音である。
 まず、Living Stage盤。多少箱の中で鳴っているような音だが、元の音がこのような音だったのだろうか。それでも、帯域には文句はなく、源音源の劣化は多少感じられるが、見事な音だ。源音源の帯域完を損ねず、押し出しのいいマスタリングにしたという印象。同録音での印象はひじょうにいい。
 Golden Melodram盤。音圧はLiving Stage盤よりも大人しめだが、素直な音には好感が持てる。極めて自然な音。これはいいなあ。残響が多めだが、その分聞きやすい。
 Chaconne盤。LPからの復刻だそうで、音はそれなり。ミュンヘン・クナ協会音源か。帯域は狭く、強奏でかなり混濁する。
 King Seven Seas盤は、Chaconne盤と同じ、ミュンヘン・クナ協会提供の音源からの復刻だが、こちらはテープからのようで、LP復刻のような不自然さはない。強奏での音の分離はChaconne盤よりも、随分とマシだ。高域のヌケが多少悪いか。
 Living Stage盤とGolden Melodram盤のどちらをリファレンスにするか迷ったが、一応、Golden Melodram盤をリファレンスにして、Living Stage盤も聞いてみることにした。考えたら、Golden Melodram盤も、音源の提供はミュンヘン・クナ協会のブラウン会長のはずだが、聞いた印象ではChaconne盤やKing Seven Seas盤と差があった。