昨晩は何年ぶりになるだろう、カラヤンのマーラー:交響曲第5番を聞く。
カラヤン盤が出るまで、セッション録音でも完璧を思わせる演奏録音はなかった。
必ずどこかに傷があった。
カラヤンはマーラーを指揮しないと思われていたのだが、マーラーブームに乗ったのか、カラヤンもマーラーを指揮し始めた(それ以前もコンサートで取り上げたことはあったようだが)。
小生が初めてカラヤンのマーラーを聞いたのは、1970.12.15にライヴ録音された「大地の歌」だった。
NHK-FMでオンエアされ、小さなラジオで聞いた。
もの凄く話題になったことを覚えている。
次にLPで、この第5番(rec.1973.2.13.-2.16)が出て、その演奏の凄さに驚いた。
演奏のどこにも、それとわかる傷らしい傷がない。
「カラヤンのマーラーなんて、額縁に入った古い絵画を見るようなもの」と言うような批判もあったが、小生はそれまでLPでは主にバルビローリ盤やノイマン盤を聞いていて、カラヤン盤が出ると早速購入、素直にカラヤン盤が好きになった。
バルビローリ盤やノイマン盤はいい演奏録音だし、バルビローリ盤なんて今でも大好きだが、?と思う箇所があったのは否めない。
その後、どれだけの同曲を聞いたのか忘れてしまったが、カラヤン盤を久しぶりに聞いて、「カラヤンは額縁の絵画のように音楽を閉じ込めたのではなく、非常な愛情をもって音楽に接していたんだな」と思った。
それは、各フレーズの愛情のこもったアーティキュレーションや、自然で聞き手にわざとらしさを感じさせないテンポ変化など、カラヤンにとって同曲は独特の位置を占めていたのではないか?と思った。
今聞いても色褪せない名盤だと思う。
