カラヤン マーラー:交響曲第9番(セッション録音)を聞く

この録音の後の、カラヤンによるマーラー:交響曲第9番のライヴ録音や、バーンスタインとベルリン・フィルによる壮絶なマーラー:交響曲第9番のライヴ録音の陰に隠れてしまっているようなセッション録音。
Rec:1979.11.22,11.23、1980.2.15.-2.17,9.30にかけての録音で、記録を見るとコンサート、セッション録音ともカラヤンにとってこれが最初のマーラー:交響曲第9番だった。
この後、カラヤンは何回か同曲をコンサートに乗せている。
後にDGからリリースされることになるライヴ録音もその一環だった。
セッション録音の方のCDはやや不遇で、長い間フランスDGのDOUBLEシリーズでしか購入することができなかった(今は単体で発売されているのかな?)。
そのフランスDGのCDも手元にあるが、やはりジャケットに愛着があるし、オリジナルLPが手元にあることから、今回はLPを聞いてみることにした。
やはり、今の家のシステムではLPの方が分離がいいようで。
CDプレーヤーを入れ替えないとダメかな?(CDプレーヤーが悪いのか...DVDプレーヤーをCDプレーヤーとして使っているが...)
非常に丁寧な演奏で、カラヤンの楽曲に対する強い思い入れを感じ取ることができる。
ピアニシモからフォルテシモまで、演奏録音を聞く快感と言うか、凄みさえ感じる。
で、CDとLPで少し戸惑ったのは172小節からのティンパニー。
先にCDを聞いてみたのだが、そのティンパニーの音がオフ気味でピアノくらいの強さなのだ。
思わずスコアを見直したらメゾフォルテの記号が付いていた。
ところがLPでは、しっかりと強めのメゾフォルテの音がする。
何故なのかは分からない。
とにかく、LPでは戸惑いがなくなり、浸りこんで聞くことができた。
カラヤンは一時期この楽曲に入れ込み、寝る前は毎晩スコアを研究していたという記事を目にしたことがあるが、その成果が出ている。
第1楽章後半に出てくるチャイムの音も、CDでは?だったが(なんだかエスニックに響く)、LPでは魅力的に響く。
第2楽章も、真面目に「田舎の楽隊風」で演奏している。
あまり細かく書くとログが長くなってしまうので書かないが、第3楽章から第4楽章にかけても、きめ細やかにスコアを再現してゆく。
第4楽章のテンポは少しゆったりめだが効果的。
凄いな、この充実した響き。
マーラーと親交のあったワルターやクレンペラーの同曲の録音とは異なるが、べルリン・フィルの名技性ともども、セッション録音としては非常な高みにあるマーラー:交響曲第9番だった。
これが陰に隠れてしまっているというのは、何とも、もったいない。

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