1962年
1月6日ミュンヘン、ドイツ博物館コングレス・ザールでミュンヘン・フィルと「公顕の日コンサート」。ワーグナー/「ジークフリート牧歌」 、モーツァルト/クラリネット協奏曲(cl:ウォルフガング・シュローダー) 、シューマン/交響曲第4番 。すべて録音が残っている。
1月15日 ハンブルク、ムジークハレでハンブルク北ドイツ放送交響楽団とコンサート。ベートーヴェン/「コリオラン」序曲 、ベートーヴェン/ピアノ協奏曲 第3番(p:アンドール・フォルデス) 、ブルックナー/交響曲第3番 。すべて録音が残っている。
「コリオラン」序曲は演奏録音は残っていても、いつの演奏か知られていなかったが、2003年にリリースされたGolden Melodram/4.0070で初めて同日の演奏として紹介された。
1月24日 東ドイツ政府、徴兵制度を復活。
2月3日 アメリカのケネディ大統領、キューバへの全面禁輸を指令。
2月5日 ミュンヘン、ドイツ博物館コングレス・ザールでバイエルン州立管弦楽団と「アカデミー・コンサート」。ベートーヴェン/「コリオラン」序曲、ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第4番(p:パウル・バデュラ=スコダ)、ベートーヴェン/交響曲第5番
2月17日、18日 ムジークフェライン・ザールでウィーン・フィルの「ニコライ記念コンサート」。ベートーヴェン/交響曲第2番、ベートーヴェン/交響曲第3番「エロイカ」 。「エロイカ」第2楽章は、17日に亡くなったブルーノ・ワルターに捧げられた。シュトラッサーが追悼のスピーチを行っている。ワルターは良くも悪くも、クナッパーツブッシュが生涯にわたり関わった相手だった。17日とされる録音が残っている。
3月2日 フランクフルト・アム・マインに客演。フランクフルト放送交響楽団とコンサート。ハイドン/交響曲第88番 、モーツァルト/ピアノ協奏曲 第20番K.466(p:パウル・バデュラ=スコダ) 、ベートーヴェン/交響曲第5番 。すべて録音が残っている。
今までモーツァルト/ピアノ協奏曲第20番のみ3月2日の録音で、その他は20日のコンサート記録とされてきたが、ジョン・ハント編集の「Hans Knappertsbusch Concert Register」(2007年刊)では、2日の演奏としてまとめられている。
3月12日 クナッパーツブッシュは74歳になった。
4月12日バイエルン州立歌劇(摂政劇場)、ワーグナー/「さまよえるオランダ人」
4月19日バイエルン州立歌劇(摂政劇場)、ベートーヴェン/「フィデリオ」
5月2日バイエルン州立歌劇(摂政劇場)、モーツァルト/「魔笛」
5月14日ケルンに客演。ケルン放送交響楽団とコンサート。ウェーバー/「オイリアンテ」序曲 、ベートーヴェン/ピアノ協奏曲 第3番(p:ゲザ・アンダ) 、ブラームス/交響曲第3番 。すべて録音が残っている。
5月20日 バイエルン州立歌劇(摂政劇場)、ニコライ/「ウィンザーの陽気な女房たち」
5月22日 バイエルン州立歌劇(摂政劇場)、ワーグナー/「さまよえるオランダ人」
5月26日 バイエルン州立歌劇(摂政劇場)、ワーグナー/「ローエングリン」
5月31日 アン・デア・ウィーン劇場ウィーン・フィルと「ウィーン芸術週間」。ベートーヴェン/「レオノーレ」序曲 第3番 、ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第4番(p:ウィルヘルム・バックハウス) 、ワーグナー/「トリスタンとイゾルデ」第1幕への前奏曲と「愛の死」(ビルギット・ニルソン)。この「ウィーン芸術週間」の記録はヴィデオに収録され、テレビ放映された。DVDでも復刻されていて見ることが出来る。
6月9日 バイエルン州立歌劇(摂政劇場)、ニコライ/「ウィンザーの陽気な女房たち」
7月2日 バイエルン州立歌劇(摂政劇場)、モーツァルト/「魔笛」
7月27日から8月21日 バイロイト祝祭音楽祭。
- 7月27日 ワーグナー/「パルジファル」
- 8月5日 ワーグナー/「パルジファル」
- 8月10日 ワーグナー/「パルジファル」
- 8月21日 ワーグナー/「パルジファル」
オランダのPhilipsが、バイロイト・シリーズの一環として、クナッパーツブッシュの「パルジファル」ステレオでライヴ録音した。これは画期的なレコードとなり、「パルジファル」の決定盤として、今もなおその評価は極めて高い。
研究音源を載せるべく、準備中。
その他では、「ニーベルングの指環」をルドルフ・ケンペ、「トリスタンとイゾルデ」をバイロイト初登場のベーム、「ローエングリン」と「タンホイザー」をサヴァリッシュが担当した。
8月28日 バイエルン州立歌劇(摂政劇場)、ミュンヘン・オペラ祭。ワーグナー/「ローエングリン」
8月31日 バイエルン州立歌劇(摂政劇場)、ミュンヘン・オペラ祭。ワーグナー/「ローエングリン」
9月17日 バイエルン州立歌劇(摂政劇場)、モーツァルト/「魔笛」
9月21日 バイエルン州立歌劇(摂政劇場)、ベートーヴェン/「フィデリオ」
10月1日 バイエルン州立歌劇(摂政劇場)、ニコライ/「ウィンザーの陽気な女房たち」
10月5日 バイエルン州立歌劇(摂政劇場)、ベートーヴェン/「フィデリオ」
10月14日 アメリカの偵察機が、キューバにソヴィエト製核兵器が設置されたことを確認。
10月16日 バイエルン州立歌劇(摂政劇場)、モーツァルト/「魔笛」
10月22日 アメリカのケネディ大統領はキューバにソヴィエト製核兵器の存在をテレビ演説で全国民に公表。キューバ海上封鎖を表明(キューバ危機)。
このキューバ危機により、第3次世界大戦の恐怖が世界を覆った。しかも、その恐怖は世界中を核兵器が飛びかうという終末的な恐怖だった。キューバ危機はその恐怖にひじょうに高い現実味を与えた。
10月31日 バイエルン州立歌劇(摂政劇場)、ワーグナー/「さまよえるオランダ人」
11月 ミュンヘン・フィルとWestminsterスタジオ録音。オール・ワーグナーだった。
- 「リエンチ」序曲
- 「さまよえるオランダ人」序曲
- 「タンホイザー」序曲
- 「ローエングリン」第1幕への前奏曲
- 「トリスタンとイゾルデ」第1幕への前奏曲と愛の死
- 「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲
- 「パルジファル」第1幕への前奏曲
- 「ジークフリート牧歌」
11月18日 バイエルン州立歌劇(摂政劇場)、ベートーヴェン/「フィデリオ」
11月20日 ソヴィエトがキューバから核兵器を撤収したため、アメリカによる海上封鎖は撤回される。世界中を緊張に巻き込んだキューバ危機は終了する。
11月24日 バイエルン州立歌劇(摂政劇場)、国民劇場再建のための支援公演。ベートーヴェン/「フィデリオ」
12月3日 ミュンヘン、ンドイツ博物館コングレス・ザールでバイエルン州立管弦楽団と「アカデミー・コンサート」。ベートーヴェン/交響曲第8番、ベートーヴェン/交響曲第3番「エロイカ」
12月7日 バイエルン州立歌劇(摂政劇場)、モーツァルト/「魔笛」
12月15日、16日 ムジークフェライン・ザールでウィーン・フィルの定期演奏会。ハイドン/交響曲第88番 、リヒャルト・シュトラウス/「死と変容」 、シューマン/交響曲第4番 。すべて録音が残っている。
12月20日 バイエルン州立歌劇(摂政劇場)、モーツァルト/「魔笛」
前年、胃潰瘍の手術を受け、体力が著しくなくなり、しかも74歳と高齢な割にはクナッパーツブッシュの活動は凄いものがある。
また、ほぼレパートリーが定着しているが、高齢の指揮者に何を望むのだろう?