カラヤン マーラー:交響曲第6番「悲劇的」を聞く

さて、カラヤンのマーラーが続いているが、次は「悲劇的」と言う題名が付いている第6番。
第6番の小生の刷り込みはバルビローリ盤で、長い間その録音に親しんだ。
長じてはテンシュテットの2種類の録音(セッション録音とライヴ録音)が愛聴盤となって、今もそのまま。
間にレーグナー盤(第2稿で通常の第2楽章と第3楽章の配列が逆だった)やセル盤などが挟まるが、他の新しい演奏録音を聞いても、今はバルビローリ盤かテンシュテット盤に戻ってしまう。
カラヤン盤も、LPのリリース当時から聞いているが、第1楽章冒頭のテンポの速さに、それほど好きな演奏録音ではなかった。
あまり好きではなかった、ということから今回聞いたのも、ン十年ぶりと言うことになる。
バルビローリ盤第1楽章の、非常に遅いテンポに慣れていたから、まあ当時は仕方なかったのか。
レヴァイン盤やアバド盤を聞いて、「あ、このテンポが適切だったのかな?」と思ったが、バルビローリ盤が刷り込みの悲しさ、なかなか第1楽章の速いテンポに馴染めなかった。
今回久しぶりに聞いて、その圧倒的な推進力の演奏に、最後まで一気に聞いてしまえたが、少し気になったのが第5番との音の違いだった。
???...で調べると、第5番はRec:1973.2.13.-2.16、ダーレムのイエス・キリスト教会、第6番はRec:1975.1.20.,2.17.-2.20、1977.2.18.-2.19.,3.9、ベルリン・フィルハーモニーでの録音だった(第6番は一気に録音したのではなかったみたい。かなり間が長いが、なぜなんだろう?)。
レコーディング・エンジニアはギュンター・ヘルマンスで同じなのだが、響いてくる音が全く違った。
第5番はエコーも美しく各楽器の分離もよいのだが、第6番はオーケストラの音がひとつの塊として、巨大なダンゴが押し寄せてくるように聞こえる。
聴感上この差は大きい。
小生は第5番の録音の方が好きだが。
ただ、前述のとおり圧倒的な推進力のある演奏なので、聞き通すのはそれほど苦痛ではない、というか一気に聞いてしまった。
思い出したのは、同じカラヤンによるブルックナー:交響曲第5番での、光り輝くロケットで宇宙に打ち出される感のある演奏録音だった。
あれは、セッション録音も海賊盤で出たライヴ録音も聞いたが、凄かったっけ。
このマーラー:交響曲第6番の演奏録音も、その漸進する力感は素晴らしい。
カラヤンはマーラーでも第5番と第6番では表現のベクトルを少し変えているのは確かなようだ。
一時期、カラヤンは第6番を盛んにコンサートに乗せていたようだし。
なお、付け加えると、第5番にフィルアップされているクリスタ・ルートヴィヒとの「なき子をしのぶ歌」はあまり感心しなかったが、第6番にフィルアップされている「リュッケルトによる5つの歌」は大変すばらしかった。
どちらも、同じ1974.5.8.-5.9.10.14の時のベルリン・フィルハーモニーでのセッション録音だったはずで、なぜだかは分からない。

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